初回公開日:2012年06月13日
最終更新日:2023年05月17日
1.はじめに
昨日(2012年06月12日)の昼間、菊池誠さんがこんな呟きをなさっていました。
この呟きを見た時に、私の中で何かがインスパイアされ、頭の中に浮かんで来た情景がありました。
次に示すのは、それを書き留めてみたものです。内容が(ちょっとだけ)大人向けなので「R-15推奨」という事で、宜しくお願いします。
なお、登場人物に特定のモデルは居ません(ホント)ので、妄想したい方は、お好きなカップリングでなさってください(笑)。
2.愛の放射線~あなたと私の8000ベクレル~
あなたと私が見つめあうとき、あなたのγが私を貫き、私のγも貴方を貫く。
これはあなたに教わったこと。
「γ線が出るのはK40の10%程度だから、400ベクレルくらいだね。しかも周囲の全方向に放射されるから、お互いを貫くのは、更にその一部だよ」
ふふっ。いつもの勿体ぶった言い方。
「じゃあ、もっと近付けば、あなたのγをたくさん浴びられるのね」
わざとそう言ってみる。
「うん、まぁ、そういう事になるね」
「ねぇ、βは?」と私が訊く。
「β線は、空気中では数十センチしか飛ばないよ」と冷静を装うあなた。
「じゃぁ、これくらいね」と言って、私はあなたにそっと寄り添う。
「ほら、あなたのβを感じるわ」
「えっ・・・でも、体表面まで出てくるβがそんなにあるかなぁ」
「だって、感じるもの」更に近付いて耳元で囁く。
「いやいやいや、そんな筈ないだろう」やっと悟ったらしく、笑いを堪えるあなた。
そしてようやく、力強い両手で私を包み込んでくれる。
至福の一瞬。瞳が潤んで視界がぼやける。
「ね、αも。あなたのαも感じたいわ」
「α線なんて、紙一枚で遮られちゃうよ」
「勿論、知ってるわ・・・だから言ってるのに・・・」
紙一枚の隙間も無いほど、あなたと一つになりたいの。
「いや、でも人体由来の放射線を浴びた位じゃ何も感じないし、そもそもK40はα崩壊したりしな・・・」
「・・ん・・知ってるわ、それも・・・でも、もういいでしょ、おしゃべりは・・・」
そう、私達は、原発なんか出来るより、ずっとずっと昔から、こうやって命を紡ぎ続けてきたのよ。
これまでも、そしてこれからも。
3.参考
私達は誰でも、それぞれの体に一人あたりおよそ8000ベクレル弱の放射性物質を持って生きています。つまり重量当たりに換算すると「人体とは100ベクレル/Kg超の放射性物質」という事になります。貴方の体も、私の体も。
そして、そのうち半分以上にあたる4000ベクレルは、K40(カリウム40)に由来するものです。
勿論これは、原発も原爆も関係ない、100%天然の放射性物質です。
ちなみに、天然であっても人工であっても、放射線そのものの「害」については違いありません。
問題になるのはあくまで「線量」です。
ですから、天然放射線(の地域差)と変わりない程度の線量であれば、たとえ人工放射線であっても、気にしなくても大丈夫です。むしろ過剰に気にする事による精神的ストレスの方が、遥かに体に悪いと言えます。
放射線と人体への影響についてもっと学びたい方は丁度、田崎晴明さんが公開してくださった素晴らしい文書がこちらにありますので、ダウンロードしてお読みください。ちょっとボリュームがありますが、これを読んで理解すれば、例えばベクレルからシーベルト(実効線量)への換算も自分で出来る様になる筈です。
また、手前味噌になってしまいますが、当ブログの「震災」ラベルの記事も宜しければ御覧ください(ラベルの「震災」のところをクリックすると、記事が一覧でみられます)。
(2014年10月1日追記)上記にリンクした田崎晴明さんの文書「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」は単行本化されています。私はあまりアマゾンのリンクとか貼らないのですが、これはオススメですのでリンクしておきます(上記のタイトルをクリックしてください)。
また、それでもちょっと内容が難しいと思われる方には(当ブログの愛読者の皆さんには今更かもしれませんが)以下の2冊をオススメしましょう。
「いちから聞きたい放射線のほんとう」
「知ろうとすること。」
先にこれらをお読みになってから、田崎さんの本を読まれるのが良いかもしれません。
4.謝辞
きっかけになったTweetをしてくださった菊池誠さんと、素晴らしい文献を提供してくださった田崎清明さんに深く御礼申し上げます。
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