コミケを風疹から守り隊

2012年9月2日日曜日

「ホールボディカウンター検査は、受ける必要はない??」に対するダメ出し

初回公開日:2012年09月02日
最終更新日:2012年09月02日

1.はじめに

先日、kazooooyaさんから、この様なリクエストを頂きました。根が遅筆な私としては、このリクエストにお応えするかどうか、少々迷いました。既にkazooooyaさん御自身もこうしたなまとめを作成されていましたので、批判としては充分ではないかとも思ったからです。
しかし、その元になっている「ホールボディカウンター検査は、受ける必要はない??」という記事を読んでみたところ、その内容の酷さにしばらく眩暈が止まらなくなりました。
あまりにも内容が酷いという点、そして、これを書いたのが医師であるという点、の2つから、批判する(ツッコミを入れる)気になった次第です。
という訳で、今回はツッコミがメインなので、全体的に少々意地の悪い書き方になっている点を御了承ください(笑)。
そしてまた、kikulogなどを御覧になっていた方は御存知だと思いますが、こういった「引用+ツッコミ」というスタイルは、実は私の少々得意とするところです(爆)。
ですので、私にしては思ったよりもはかどりました。でも超絶に長いですよ。普段から私の記事は長めですが、そのおよそ5割増しだと思ってください(まぁ、引用しつつツッコミを入れていくというスタイルだと、どうしても長くなってしまうのですが)。
また、途中でひとつトラップに掛かりましたが、その詳細は最後に書きます。

2.逐次引用とツッコミ(その1)

それでは、順次記事の内容を引用しつつ、論評を加えて行きたいと思います。
なお、引用に当たっては、全ての文字装飾を外し、文字色を茶色で統一してあります。
また、私は通常、引用部冒頭に引用符「>」を付けるだけの事が多いのですが、今回は引用部分が多いので、引用部の末尾にも「<」を付ける事にします。

結論を先に述べますと、「ホールボディカウンター検査は、受ける必要はない!~絶対に受けてはいけない!」となります。
のっけから、非常に強い結論です。これだけ強い主張をする為には、確実な根拠と、強固な論理展開の両者が必須です。さぁ、果たして、以下の文章に、それだけの根拠と論理が示されているのでしょうか。

今回の評論は、一部専門的なところもあり、一度読んだだけでは理解しにくいかもしれませんが、ぜひ何度も読んで、すべてを理解してください。
「専門的なところもある」とわざわざ書いています。これは「たとえ専門的な内容であっても、記載には責任を持つ」という意味に解釈できます。言い換えれば、自分でこういう風に書いた以上、たとえ専門的な内容であっても、間違いがあるべきではないという事です。
うん、間違いが無いと良いですね、筆者御本人の為には。
ちなみに、そういう批判を回避する為には、要するに自分が良く知らない事に関しては、知ったかぶりをしたり断定したりしなければ良いのです。その辺りを筆者はどう書いているかも、注意して読んでみてください。

ほとんどのマスコミは全く取り上げていませんが、日本政府がIAEAに報告するために作成した資料で、昨年8月26日に経済産業省から発表された福島第一原発から放出された核種と広島原爆で放出された核種の試算表を見ると、福島県から関東一帯で、決定的というべきか、運命的というべきか、致命的という言うべき重大なことが進行していることがわかります。
既に多くの方々が実感されている通り、原発事故に関して、政府や東電に対して批判的なマスコミが数多く存在します。そうした中で「殆どのマスコミが全く取り上げていない」とは、どういう事でしょう?こうしてホームページに堂々と公開出来る内容、これが本当であれば政府や東電を批判する又と無い材料になる筈の情報を、殆どのマスコミが全く取り上げていないとは?何となく、陰謀論臭いですね。更に言えば、マスコミが取り上げない筈の情報を筆者は一体どこから入手したのでしょうか?入手先についての情報(つまりソース)は全く記されていません。
仮に、上記の点に目をつぶるとしても「日本政府がIAEAに報告する資料」と書いていますから、その資料は公式ないし公的なものである筈です。であれば、その資料そのものに関しても、第三者が参照して検証できる様に、出典を明らかにすべきです。
良心的に解釈すれば、おそらく「日本政府がIAEAに報告するための資料」とはこちらの事でしょう(筆者が示さないので、私が自分で探してきました)。これは経済産業省が出しているニュースリリースですから、政府の資料と言って間違い無いでしょう。ネット上にある情報なのに、リンクを張ったりURLを明示したりしないのですね、筆者は。
という訳で、本文をみる限りではどちらのソースも明示されていませんので、主張の信頼性はかなり低下します。最初に述べた「確実な根拠」を満たしていないからです。
もう一点述べると、表現が大袈裟で過剰です。淡々と事実を述べるのであれば「決定的」「運命的」「致命的」などといった言葉を重ねる必要は全くありません。逆に、不安を煽るのが目的なのであれば、こういった大仰な物言いは効果的でしょう。果たして、筆者の意図は何処にあるのでしょうか。

アルファ核種として、プルトニウム238、239、240、ベータ核種として、キセノン、ストロンチウム、テルル、ヨウ素、ネプツニウム、セシウム、ガンマ核種として、ヨウ素、セシウムが大量に放出されました。
確かに、これらの核種が放出されたのは事実です。しかしここには、最も肝心な事実が記載されていません。即ち「大量」とはどの程度なのか、という点です。繰り返しますが、筆者が参照しているのは「日本政府がIAEAに報告する為の資料」の筈です。であれば(たとえ推定であっても)そこに「放出量」が記載されていない筈がないでしょう(実際、私がリンクした資料には、ちゃんと記載されています)。
改めて強調しておきます。「量」「程度」の問題は極めて、極めて重要です。一般的に言って、どれほど強力な毒物でも、量が充分に少なければ安全と言えます。逆に、毒性が比較的低い物質でも、極めて大量に存在するならば、注意が必要だからです。
その意味で「大量」とだけ書いて、具体的にどの程度の量かを全く書かない筆者の態度はズルいです。敢えて言えば、私は「筆者は放射性物質の量と危険性について、正しく理解していないのではないか」もっと言えば「筆者自身も、危険を煽る人の言い分を鵜呑みにしているだけなのではないか」という疑いを持っています(何故その様に思うのかは、後で説明します)。

アルファ線を出す代表核種であるプルトニウム~地球上における最強の毒と言われる~の降下量は、これらの核種よりは少ないのですが、ここで、プルトニウムよりはるかに大量に降下したネプツニウムに注目しなくてはなりません。ネプツニウムは、半減期2.356日でベータ線を出して、プルトニウム239に変わります。プルトニウム239は、アルファ線を出します。3月15日ごろ、関東から福島に大量に降ったネプツニウムは、約2日経ったくらいから、そこらここらで大量にプルトニウムを生産していたことになります。
プルトニウムが「地球最強の毒物」というのは良く聞く話ですが、実際には単なる俗説に過ぎません。どうも小出氏がそういう事を言っているらしいのですが、そもそも「毒性」をどの様に定義するかも明らかにせずに、単に「地球上で最強」などと言ったところで、そんなのは只のコケオドシにしかなりません(勿論、無害だと言っている訳ではありません。既に述べた様に、重要なのは「量」「程度」の問題なのです)。
あるいは「と言われている」という伝聞表現で逃げたつもりになっているかもしれませんが、それも卑怯です。何故なら「プルトニウムは毒性が強い」というのは、筆者の主張の根幹(の一部)を成す重要なポイントだからです。ですから、ここの部分に関しては、「どの程度の量でどうなるのか」について、きちんと客観的な根拠に基づいて示す必要がある筈ですが、上でも述べ今後も繰り返し出て来る通り、筆者は「量」の概念に関してはメチャクチャです。

(ちょっと余談を書きます。興味の無い方は、この段落を読み飛ばしてください。)
もしかしたら、プルトニウムの語源が「ローマ神話の冥界の王プルートー」である事から「恐怖の元素」の様にイメージしている人がいるのかもしれません。しかしこれは間違いです。確かにプルートーはローマ神話の冥界の王(ギリシャ神話のハデス)ですが、実は、これは「冥王星」の事なのです。
つまり、
原子番号92のウラニウム:ウラヌス(ローマ神話の天の王、天王星)が語源
原子番号93のネプツニウム:ネプチューン(ローマ神話の海の王、海王星)が語源
原子番号94のプルトニウム:プルートー(ローマ神話の冥界の王、冥王星)が語源
となります(セーラームーンを思い出された方も多い事でしょう)。元素としてのウラニウム(ウラン)が発見されたのは1789年であり、元素の名前を付ける時に、1781年に発見された天王星の名前にちなんで「ウラニウム」と命名したのです。そして、その後の2つの元素は、原子番号の順番に並べて名前を付けた訳です。イメージに振り回されると困るのですが、特にプルトニウムだけが恐ろしい訳でもありません。
更にトリビアな話をしますと、御存知の方も多いホルストの組曲「惑星」は1917年に完成しました。その中には「海王星」までは含まれていますが「冥王星」は含まれていません。これは、冥王星が準惑星に降格したから・・・ではなくて、単に作曲当時には未だ冥王星が発見されていなかった(冥王星の発見は1930年)からです。

話を戻しましょう。
さて、ここで筆者は大量に降ったネプツニウムが短い半減期でプルトニウムに変わったと述べています。それ自体は必ずしも間違いではありません(「生産」という言葉は不適切ですが、まぁその位は許容しておきましょう)。
ただ、ここで筆者が決定的に間違えている点があります。
それは何か。
それは「大量のネプツニウムから大量のプルトニウムが生じる、だから危険だ」という認識です。
それがどの様に間違っているのか、それこそ「一部専門的なところもあります」が(笑)、少し詳しく解説してみましょう。

まずは基本的なところからいきましょう。
そもそも、放射性物質は、なぜ、危険なのですか?
はい、そうですね。「放射線を出すから」危険なのですね。プルトニウムなどには確かに化学物質としての毒性もありますが、それとは比べ物にならないほど、放射線による害の方が大きいのです。
では、放射性物質は、どの様な時に放射線を出すのでしょうか。ずーっと出しっぱなし?いいえ、違います。
放射性物質は、崩壊して別の物質に変わります。その際に放射線を出します。逆に言えば、崩壊しない限り、放射線は出さないのです。
以上から、放射性物質としての「量」は「どのくらい放射線を出すか」で測るのが適切だという事になります。それが「ベクレル」という単位です。即ち、1ベクレルとは、1秒間に1個の原子が崩壊して放射線を出す量の事です。
即ち、食品等の測定で示される 1ベクレル/kg とは「食品1kg中で1秒間に1個の原子が崩壊して放射線を出している」という意味です。ちなみに、別の記事にも書きました通り、我々の身体自身が4000ベクレルの自然放射線を放出しています。体重を60kgとすると、私達の身体は、約67ベクレル/Kg に相当しますね。

次に「半減期」について述べます。半減期とは、それぞれの放射性物質に固有の期間であり、半分の放射性物質が崩壊(して放射線を放出)する時間です。ですから、半減期が経過する度に、その物質は半分になります。ネプツニウム239の半減期は2.356日ですから、1ヶ月も経てば、半分の半分の半分の・・・ざっと数万分の1に減少します。勿論、消えてなくなる訳ではなく、ネプツニウム239の場合はプルトニウム239に変化する訳ですね。つまり、1ヶ月もすれば、ほぼ全てのネプツニウム239はプルトニウム239に変化しているのです。
ちなみに、プルトニウム239の半減期は2万4千年(正確には24110年)です。
これは、さりげなく重要な情報です。

さて、確かに、ここまでの情報で考えてみると「大量のネプツニウムから大量のプルトニウムが出来る」のは正しい様にも思えます。
しかし、ここでちょっと考えてみてください。
ポイントは「放射性物質の量は『どの位の放射線を出すか』で測る」という点です。

ネプツニウム239は短い期間で急速に崩壊し放射線を出してプルトニウム239に変化します。しかしそのプルトニウムはネプツニウムよりも遥かに長い期間をかけてゆっくりと崩壊します。という事は、放射線もチビチビとしか出さないという事なのです。
具体的に計算すると、プルトニウム239が出す放射線量は、同じ原子数のネプツニウム239に比べて 2.356(日)÷(365.2422(日/年)×24110(年)) 倍になります。つまりおよそ374万分の1です。
これをベクレルで表現すると「374万ベクレルのネプツニウムが全て崩壊して変化したプルトニウムは、1ベクレルに相当する」となります。
これはとても重要なポイントであり、今回のハイライトのひとつです。
ですので繰り返して書きます。「374万ベクレルのネプツニウムが全て崩壊したとしても、生成されるのは、僅か1ベクレルのプルトニウム」なのです。
実は、こうした誤解は良くある様です(ですから、これまでそう思っていた人も、別に恥ずかしくないです)。これは、原子の数と、その原子が出す放射線の量とを、うまく区別出来ていない為に生じる誤解だと考えられます。
しつこく繰り返して書きますが、確かにネプツニウムは事故後短い期間で急速に崩壊し放射線を放出しました。しかしそれにより生じたプルトニウムは、ネプツニウムの374万分の1しか放射線を出さないのです。
この件に関して、もう少し詳しく知りたい方は、例えばこちらのTogetterを御覧ください。そちらでは「365万倍に薄まる(つまり365万分の1になる)」と書かれていますが、これは、ネプツニウムの半減期を2.4日、プルトニウムの半減期を24000年、1年を365日として計算しているからです。こうすれば計算が簡単になります。即ち 365×24000÷2.4=365×10000 であり、丁度365万倍に薄まるという結果が出ます。

という訳で、これは、放射線に関する基礎知識です。
上に「誤解していても恥ずかしくない」と書きましたが、今回の筆者の様に「放射線の危険性を煽る記事」を書いている様な人は別ですよ、勿論。そういう事を書くのであれば、当然、この程度の事は知っていなければなりません。
もし知らないのに、こういうもっともらしい記事を書いているのであれば、メチャクチャ勉強不足であり、全くお話になりません。また、もし知っていてわざと書かないのであれば、それは無用な不安を煽る書き方であり、極めて卑怯な態度であると言えるでしょう。
これが、私が「筆者は放射性物質の量と危険性について正しく理解していないのではないか」「危険を煽る人の言い分を鵜呑みにしているのではないか」と疑っている理由です。

そして、筆者以外にも、したり顔でプルトニウムの危険性を煽る人達の殆どは、こうした基本的な知識を理解していません。例えば、こちらのブログ(これは「ネプツニウム 放出量」でググって出てきたブログです。こういう記事が上位に出てくるのはマズいですね。ですので、ここからのリンクには「nofollow」を付けました)です。
内容はホントに下らないので、特に興味のある方だけ御覧頂けば良いと思いますが、その記事では、もはやお馴染みのバズビーやガンダーセン、そして「おしどりマコ」まで引き合いに出して危険性を煽っています。本来なら「属人的な議論」は好ましくないのですが、こういう人達を引き合いに出している時点で、もはや読む価値は無いと言っても良いでしょう。
そして、真ん中あたりの記述を見ると、書き手は「74兆ベクレルのネプツニウムは74兆ベクレルのプルトニウムになる」と思い込んでいる事が解ります。
基本的な知識の無いまま、危険性を煽る連中の言い分にどっぷり漬かり込んでしまっている様子が伺えます。「ベクレルとは何か」「半減期とは何か」という、本当に基本的な部分だけでも理解しておけば、こんな馬鹿げた内容に騙される事も無いのですが・・・
これはもう愚痴にしかならないのですが、本当に「放射能は危険だ!」と騒ぐ人達に限って、揃いも揃ってごく基本的な部分すら理解していないのはどういう訳なのでしょうね。もしも本当に危険だと思うのであれば「敵」の事を良く知るのは基本中の基本だと思うのですが・・・

以上は重要なポイントでしたので、ここで一旦、項目を改めます。

3.逐次引用とツッコミ(その2)

では、引き続いて、引用しつつツッコミを入れていく事にします。


さて、3月11日の地震により、福島第一原発は冷却機能を失い、水素爆発に至ったわけですが、その中でプルトニウムを燃料として使用している3号機は、水素爆発の直後、即発臨界という現象が起こり、使用済み燃料プールにあった核燃料が、ほぼすべて核爆発を起こして消失しています。
これは大変です。「使用済み燃料プールにあった核燃料の殆ど全てが核爆発を起こして消失した」そうですよ、皆さん。
冗談じゃありません。それほどの量の核物質が一度に核爆発を起こしたら、使用済み燃料プールなんて、既に跡形も無く吹き飛んでいる筈です。そもそも「核爆発」なんて、そんなに簡単に起こるものではないのです。
冷静に判断できる読み手であれば、この辺までくると「あぁ、結局デタラメばっかり吹聴して(あるいは、デタラメを信じ込まされて)不安を煽る情報を拡散するだけの人か」という見極めがつくところです。しかし、不安になっている人は、そうとも限りません。
私も、乗りかかった船ですから、もう少しツッコミを入れていきましょう。

これは、ほとんどの日本の研究者は指摘していませんし、政府や東電も認めていませんが、アメリカのスリーマイル島の原発事故の原因調査の最高責任者であったアニーガンダーセン博士が事故直後から指摘しています。
ほら、やっぱりガンダーセンが出てきました。既に述べた通り、こういう人を根拠にしている時点で、ダメダメなのです。繰り返しますが、バズビー、ガンダーセン、バンダジェフスキーあたりは言っている事がメチャクチャです。従って、これらの人物の意見を根拠にした主張は、全く当てになりません。

ですから、核爆発の存在を前提にして書かれている、以下の記述
水素爆発の温度は約600℃であるのに対し、核爆発は何千℃、何万℃に至ります。プルトニウムの沸点は、約3200℃であり、水素爆発ではプルトニウムは気体にはなりませんが、核爆発では一瞬で気体となり、空高く舞い上がります。3号機の使用済み核燃料プールに入れてあった核燃料がほぼすべて無くなっていること、爆発のビデオ解析から爆発のスピードが音速を超えることが明らかであることから、3号機の核爆発は100%間違いないといえます。先に述べた放出核種の分析と、この現象はよく一致します。
これらは全くデタラメです。
温度の部分だけならまだ良いのですが、核爆発の存在を前提としている段階で間違いです。筆者は「核爆発が100%間違いない」事の根拠として「爆発のスピードが音速を超えているから核爆発である」と述べていますが、これも完全に間違っています。核爆発でなくても、火薬などによる通常の爆発や、火山爆発などでも、爆発の初速が音速を超える事は、いくらでもありえます。
この点だけとっても、筆者が基本的な知識すら持たないにも関わらず、他の誰かのテキトーな言い分を鵜呑みにしたまま情報を拡散している事が窺えます。
という訳で「この筆者の言い分は信用出来ない事だらけ」なのです。通常ならば、重要な部分に関して1つでも重大なミスがあれば全体の信頼性は大きく損なわれます(例えば、仮に「ガンダムに学ぶ政治学」という様な本があったとしましょう。もしもその中に「超兵器ガンダムというスーパーロボットをリモコンで自由自在に操るエスパー少年アムロは、究極の必殺技ガンダムハンマーで、悪の手先を粉々に粉砕する」などという記述があった場合に、その本の内容を真面目に受け取る気になるでしょうか?まぁ、そんな様な話です)。
更に今回の場合は、私が指摘している通り、重大なミスは1つどころではありません。そこら中にあります。むしろ正しい記述の方が少ない位です。
つまり、一言で述べれば「デタラメの塊」です。

これらの地方の放射性物質による放射能汚染は、巷で言われているセシウムだけではなく、大量のアルファ核種~プルトニウムなどや、ベータ核種~ストロンチウムなどによる汚染があるということになります。
既に指摘してあります様に、筆者はプルトニウムのベクレル量に関して全く正確に理解していない(もしくは、知っててとぼけている)と考えられます。そうした人が「大量のアルファ核種による汚染」などと言っても、全く信憑性がありません。そしてここでも「大量」としか言っておらず、相変わらず「量」「程度」の問題に無頓着ないし無理解なのが解ります。

内部被ばくについて、これは人体が呼吸や飲食によって、放射性物質を取り込んで生じる被曝です。アルファ線、ベータ線、ガンマ線、すべての放射線が関係します。この中で特に影響の大きいものが、アルファ線とベータ線です。この2種は、人間の2本鎖DNAを2本とも切断します。障害細胞の修復困難の可能性~すなわち発ガンの可能性が高まります。ガンマ線は1本だけです。
確かに放射線の生体に対する影響は「アルファ線>ベータ線>ガンマ線」となります。その点だけは正しいですね。しかしながら、私は寡聞にして「アルファ線とベータ線はDNAを2本とも切断し、ガンマ線は1本しか切断しない」という様な話を聞いた事がありません。もしそういう話を「確実な根拠付きで」御存知の方がいらっしゃいましたら、是非ともお教え願いたく存じます。

いずれにせよ、80日目に調べたのでは、ヨウ素131は体の中にはほとんどありませんので、ホールボディカウンターなどの被曝したかどうかの検査をしても意味がありません。物理学的半減期が短い放射性物質は、一気に崩壊が起こり、放射線が一気に出て細胞障害がおこるので、発ガン性が高いと覚えておいてください。
ここに書いてある事も、字面だけ見れば、確かに間違いとは言えません。しかし、そんな事はホールボディカウンタ検査(以下WBCと略します)を行う側は、百も承知です。今からWBCを行う場合、その検査は体内のヨウ素131を測る為では「ない」のです。たとえヨウ素131の内部被爆をした人でも、今からWBC検査をしても放射線は検出できません(その点だけは筆者の言う通りです)。だからこそ、今後も、福島の人達に対して、甲状腺の検査を継続して行っていく必要があるのです。決して、WBC検査をすれば甲状腺検査をしなくて良いなどとは、私の知る限り、誰も言っていません。もし、仮に、そんな主張をしている人が居るのであれば、それは、強く批判されるべきです。
と言うか、その程度の事も知らずに「WBC検査は絶対に受けてはいけない!」などと主張するのですかね、この筆者は。誰も言っていない事を勝手に想定して攻撃する。こういうのを典型的な「藁人形論法」と言うのです。

セシウム137の場合は、物理学的半減期30年>生物学的半減期70~100日であって、一気にはベータ崩壊とガンマ崩壊が起こりませんが、体から排泄されるまで連続して放射線被曝を生じて発ガン性が高まります。ホールボディカウンターで検出されるものは、この核種です。
でましたね「連続して放射線被爆」という台詞が。「量の概念が無い」というのはこういう事です。しつこく書きますが、どれだけ放射線を放出するかという単位が「ベクレル」です。ですから基本的には同じベクレルであれば(半減期が違っていても)同程度の放射線量と言って良いのです。但し、放射線の種類の違い、体内で何処に集まりやすいか、どの様に排出されるか、等の条件により我々の体に与える影響は異なります。そういった要素まで考慮に含めた単位が「シーベルト」なのです。
ですから「同じシーベルトであれば、被爆量は同じと言って良い」のです(本当は、シーベルトで表される量にも何種類かあるのですが、長くなるのでここでは省略します)。どうも筆者は、その点も良く理解していない(あるいは、理解していてわざととぼけている)様に見えます。

私が本当に腹が立つのは、こういう所です。筆者は、仮にも医師を名乗っています。医師が、人体に対する影響に関してもっともらしく述べれば、ある程度の説得力を持つでしょう。それを知ってか知らずか、医師の肩書きを以ってデタラメを吹聴している。
私は筆者の医師としての能力そのものを直接判断できる材料を持っていませんが、少なくとも放射線と物理学の基礎知識に関しては「物理を選択科目にして大学受験をするのはマズいレベルである」という程度の事は言えると思っています。
もしも筆者が、自分で書いた事を本気で信じているのならば「勉強不足に付け込まれて騙されている」事に早く気付いた方が良いでしょう。

ちなみにここで筆者はセシウムの事を「ホールボディカウンターで検出される」とはっきり書いています(これ自体は正しい)。これは後で出て来る重要なポイントですので、覚えておいてください。

プルトニウムとストロンチウムは、いずれも物理学的半減期、生物学的半減期ともに、2万4千年と数十年(プルトニウム239)、29年と数十年(ストロンチウム90)と半減期の長い放射性物質です。いずれも人体に入ると長期間にわたり細胞を傷害して、しかも近くの細胞を執拗に障害するので、発ガンの危険の特に高い放射性物質です。ホールボディカウンターでは全く検出できない核種です。
おや「プルトニウム239の(物理学的)半減期は2万4千年」と、ちゃんと書いてあるではありませんか。やはり筆者は「半減期と放射線量の関係」について、丸っきり理解出来ていない様ですね。
「プルトニウムは半減期が長いので長期にわたって細胞を傷害し続ける」というのは、良くある誤解です。実際には「なかなか崩壊しないので、なかなか細胞を傷害しない物質である」と言った方が、より正確です。想像してみれば解ると思いますが、2万4千年かけてようやく半分の原子が崩壊して放射線を出すのですから、体内に入って数十年の間に崩壊するのは、プルトニウム全体の中でも、ごくごく一部であるという事です。
ですから(繰り返しますが)「どのくらい放射線を出すか」という指標で調べるのが大切なのです。
て言うか、この筆者、半減期の短い核種について述べる時は「半減期が短いから危険」だと言い、半減期の長い核種について述べる時は「半減期が長いから危険」だと言っていますね。
一体、どっちやねん!都合良く使い分けるのも大概にしなさい。
まぁ、そのおかげで「筆者の言っている事はデタラメである」という証拠がまた1つ積み上がった訳ですが。

いよいよ、本題のホールボディカウンターですが、NaI(TI)シンチレーション検出機を使って全身を検査するものです。基本的にはガンマ線を放出する核種、セシウム134、137、カリウム40、ヨウ素131などのγ線を放出する核種を検出するものです。ベータ核種のストロンチウム90やアルファ核種のプルトニウム239などの最も危険な核種は検出できません。また、正確に測るには、30分以上かけて、データの分析に熟練した技師が行う必要があり、とても2~3分の流れ作業的検査では正確な被曝の証拠は出ません。ECRR(ヨーロッパ放射線防護委員会)のバズビー博士は「そもそもセシウムしか重要視していないホールボディカウンター検査は意味がない。こんなものにお金を使うより、食の安全にお金をかけるべきだ。」と言っておられます。
ここの段落も、WBCそのものの説明に関しては、それほど変な事は書いてありません。しかしその後に書いてある事はダメダメです。まず、相変わらず量の問題を無視して、プルトニウム239を「最も危険な核種」と述べています。で、ここでも再度「セシウムは検出できる」という内容を書いていますね。覚えておいてください。
更に、ガンダーセンに続いて(やっぱり)今度はバズビーを引き合いに出してきましたねぇ。どうしてこう、ダメな人は皆同じ手に引っ掛かるのでしょうか。こうやって「真実とデタラメを混ぜこぜにする手法」は詐欺師も良く使う手です。
いや、別に、特定の誰かが詐欺師だと断定したい訳ではありませんよ。但し、バズビー氏とバズビー基金に関しては「(実際には放射線に効果の無い)サプリメントを売るのが目的なのではないか(あるいは、バズビー氏本人は利用されただけなのかもしれません)」という嫌疑が掛けられている事は、知っておいて頂きたいと思います。
もし、その点に関して、更に詳しくお知りになりたいのであれば、FEDisさんのブログにある「バズビー基金問題の記事一覧」や、「warblerの日記」中にある「ガーディアン紙が掲載した、放射線に効くと宣伝されるサプリに関する批判記事の紹介」という記事などを御覧頂ければ、と思います。
ついでに言えば、ECRRというのも、如何にももっともらしい名称に思えますが、実は単なる民間の任意団体であり、全く公的なものでもなければ権威もありません。

福島県では、昨年から住民のホールボディカウンター検査が始まりましたが、被曝の検出率は数%と低いようです。栃木県でも、18歳以下の住民を対象に検査を行うように予算が付けられるようですが、どうでしょうか。おそらく内部被ばくが証明できるのは、検査人数の1%以下でしょう。
内部被爆が少ないというのは、普通は喜ぶべき事だと思うのですが、ひたすら危険性を煽り立てようとする人達にとっては、都合が悪いのでしょうね。さて、筆者はどちらなのでしょうか。

事故から1年が経とうとしておりますこれからの時期にホールボディカウンター検査をしても、ヨウ素131は全く検出できませんし、もともとプルトニウム、ストロンチウムは全く検出できません。
既に述べた様に、WBC検査をする側は、そうした点は百も承知です。にも関わらずWBC検査が重要なのは何故かと言いますと、それは「現時点で最も注意して検出すべき核種がセシウムだから」です。これも重要なポイントです。
既に述べた通り、ヨウ素被曝に関しては(既に被曝してしまった人の放射線を今から検出する事は出来ないので)これからも甲状腺検査を継続していく必要があります。そして、プルトニウムに関しては、筆者がプルトニウムの量を実際より370万倍以上も多く見積もっている事から、彼が危険性を極端に過大視している事は明らかです。実際、プルトニウムやストロンチウムは、降下量測定などの環境測定によってモニタリングされています。文部科学省の「放射線モニタリング情報」によれば、原発事故後の東北6県におけるストロンチウム90の降下量は「過去11年間で最大」だそうですが、それでも1960年代の世界中で核実験が行われていた時代に、日本のあらゆる場所に降り続いていた量よりも少ないのです。

したがって、ほとんどの人が内部被ばくは無かったとされてしまいます。実際は、ヨウ素131の大量被ばく、プルトニウムとストロンチウムもかなりの量を内部被ばく、セシウムもそれなりに大量に被曝しているのに。
ほら、どんどん言っている事が怪しくなってきました(いや、怪しいのは最初からですね)。ともかく、ここの記載にも明らかな矛盾がみられます。
上の方で「覚えておいてください」と書いたポイントを、皆さん覚えていますか?そう、筆者は「セシウムはWBCで検出される」事を知っているのです。つまり「セシウムもそれなりに大量に被曝している」のであれば、WBCで検出できない筈が無いのです。
どうやら筆者は、WBC憎しの余り「WBCでセシウムの内部被曝が検出できる」という、御自分でお書きになった事実まで、どっかに吹っ飛ばしてしまった様です。
もう指摘するのも何度目か解りませんが、筆者の書いている内容は、メチャクチャです。自分で書いた内容すら自分で否定してしまうのでは、もはや何処にも信用する余地はありません。

4.逐次引用とツッコミ(その3)

ここまで、順番に筆者の言い分に対してツッコミを入れてきましたが、まぁ酷いものです。きちんとお読み頂いた方ならお解かりになる通り、どこもかしこもテキトーなデタラメのオンパレードです。
という訳で、もう残りの部分はサラッと行きたいと思います。

これでは、原発村の学者たちの思うつぼにはまります。原発村の学者は、データがほしいのです。 栃木県や福島県の住民を検査したが、ほとんど内部被ばくはなかった。したがって、今後がん患者が増えても、原発事故によるものではない~こういう結論がほしいのです。
こんなのは、酷い言い掛かりです。何の根拠もありません。筆者が根拠として挙げたものは、どれ一つしてマトモな内容ではありませんでした。
そしてまた、譲歩に譲歩を重ねたとして、仮に筆者の言い分に一理あると認めたとしても、そこから上記の結論を導き出すのは、著しい論理の飛躍と言わざるを得ません。

本当は、アルファ核種やベータ核種の内部被ばくを正確に測定できる機械で測定せず、しかも短時間にいい加減な測定をして、内部被ばくがなかったことにして導き出した、でたらめな結論であるにもかかわらず。
デタラメなのは、紛れも無く筆者の方です。これも既に詳細に指摘してきた通りです。

彼らは、ICRP(国際放射線防護委員会)の内部被ばくを考慮しない、外部被ばくだけの放射線障害の結論~チェルノブイリ原発事故では、原発職員が約50名急性放射線障害で死亡したが、住民への影響は、小児の甲状腺ガンがほんの少し増えただけであった!その他の病気が増えたのは、ストレスによるものである!~他の臓器のがん患者や奇形の子供の出産も大幅に増えており、完全なでたらめ!!~こんな結論を今だに信じて疑わない~疑いたくない連中です。
また「でたらめ」と言っていますね。自分の方がデタラメを撒き散らしておいて、よくも恥ずかしげも無く、こんな風に他者を攻撃できたものです。恥を知りなさい。
そして更に、私が暗澹たる気分になるのは、筆者が医師を名乗っておきながら、ストレスによる身体への影響を極めて軽く見ているらしい点です。先に「医師としての能力を直接評価できる情報が無い」と書きましたが、訂正します。精神的ストレスの影響を過小評価する様な人は、その点に於いて、臨床医としてのレベルを疑います

もう一度言いましょう! 原発村の学者は、内部被ばくを十分に調べた、外部被ばくも測定したが、内部被ばくはほとんどなかったので、ガン患者が激増しても原発事故のせいではない。原発事故の住民への影響はなかった~という結論(もちろん!完全なデタラメ!)がほしいのです。
また「デタラメ」と言いましたね。そもそも「がん患者が激増しても原発事故のせいではない」なんて、一体、誰が言うのですか?もしも、もしも実際に「がん患者が激増」したとすれば、その時には、原発事故との関連を考えない筈が無いでしょう。そこまで人々が馬鹿だと思っているのでしょうか。いや、きっと馬鹿だと思っているのでしょうね。
そう、結局、筆者は、被災者を馬鹿にしているのです。自分(達)だけが真実を知っていて、その「有り難い真実を無知蒙昧な人々に御託宣してやるから、せいぜいかしこまって受け取るがよい」と、そういう気持ちなのでしょう。
しかし実際には、ここで示してきた通り、基本的な知識すら持たずに、誰かの煽りを真に受けてしまっているのは、間違い無く筆者の方です。こんな妄言に踊らされてはいけません。

栃木県の放射線防護のアドバイザーも福島県の責任者も、これら原発村の学者グループであることから、いずれの県も住民が見殺しにされるか、モルモットにされることは明らかです。
何故「明らか」なのでしょうか。論理展開がムチャクチャです。論理というよりも、もはや妄想のレベルです。

結論として、ホールボディカウンター検査は受ける必要はない~絶対に受けてはいけないということになります。
 もし、あなたの子供がホールボディ検査を受けたとすると、おそらく内部被ばくはないと判定されるでしょう。そして、数年後あるいは10数年後に原発事故の放射線の影響でガンを発症しても、それは原発事故のせいではないといわれるでしょう。担当者は、きっとこう言うはずです。「だって、ホールボディカウンター検査で内部被ばくがないと言われたんでしょう?だったら、お子さんがガンになったって、それは原発事故のせいではないですよ。日ごろの健康管理が悪かったんじゃないですか?」と。
いや、繰り返しますが「セシウムの内部被曝はWBCで検出できる」のですよ。その事は、筆者も認めているではないですか。そして筆者は、セシウムによる内部被曝も「それなりに大量にある」と主張しているのですから、WBC検査をすれば検出される筈ですよね。

ちょっと、意地悪に勘繰っても良いですか?
要するに筆者にとっては、WBC検査によって「内部被曝は(殆ど)無い」と証明されてしまうのが都合が悪いのではないですか?何時までも「危険だ、危険だ」と言い続ける為には、なるべく多くの人に「WBC検査を拒否」して貰った方が、都合が良いですよね?もしそうでないのなら、セシウムの内部被曝を検出できるWBC検査を「絶対に受けてはいけない」とまで言う必要がありません。

はっきり書きますが、筆者の言う通りにWBC検査を拒否したとしたら、現実にセシウムを内部被曝した人が居た場合にどうなりますか?そういう人の発見が遅れる事になりますよね。つまり、筆者のせいで、原発事故による被害者が増えるという結果になります。これは、筆者自身の書いている内容だけを材料にした場合でも、論理的に導く事が出来る結論です。
まぁ、こんな馬鹿げたタワゴトを本気にする人が少しでも減れば、そういう危険性も減っていく訳です。ですから私もこうして、ささやかながらカウンター情報をネットに上げてみた訳です。

5.まとめ

以上をまとめると、この記事の問題点は以下の様になります。

1)非常に強い言葉・大袈裟な表現を使っている。
  危険性を煽るのが目的であるかの様に見えます。
2)根拠を明示しない、あるいは怪しいソースを根拠にする。
  全体の信頼性に大きな疑問符がつくところです。
3)「量」「程度」の肝心なところを具体的に述べず「大量」などの言葉でごまかす。
  何度でも述べますが「量」「程度」の問題は極めて重要です。それを軽視する人はダメです。
4)放射線に関する基本的な知識を持っていない。
  これは致命的です。基本知識すら無いのに偉そうに色々書くのですから。
5)論理的に矛盾している。
  これも致命的です。1つの文章の中に矛盾があっても平気な人は、基本的に信じられません。
6)自分で作り上げたデタラメ(あるいは、誰かの受け売り)に基づいて他者を非難している。
  他者を批判するには、確実な根拠と強固な論理が必要なのですが、どちらもありません。
7)筆者の言う通りにした場合、却って原発事故による被害が拡大する可能性がある。
  御自分が「原発事故の被害拡大に加担している」という点に気付いて頂きたいものです。

という訳で、一言で述べれば(しつこいですが)全くどうしようもないデタラメだという事です。

6.おまけ

普段にも増して長い文章を読んで頂き、有り難うございました。

実は、1/3くらい書いたところで、誤って、なんと、全ての記載を、一つ残らず消してしまいました。このブログを開設して依頼、最大の失態です。ていうか、Ctrl+zを1回押したくらいで、これまで書き溜めた記載を1字残らず一瞬にして全部消しちまうんじゃねーよBrogger。しかも、あまりの事に一瞬固まってしまった私の隙を突いて、すかさず「上書き自動保存」するなんて、一体どういうトラップだよゴルァ。

えぇ、久しぶりに、泣きましたともコンチクショー 。゚(゚ノД`゚)゚。 

はっ、もしかしたらこれは、誰かさんの呪いなのではgkbr
へへーん、でも、ちゃんとこうやって書き上げたもんねー、だ(^-^)/

7.謝辞

えー、今回は、何よりも、私に依頼をしてくださったkazooooyaさんに御礼申し上げます。
そして、いつもの様に、HP、ブログ、Twitter等で役に立つ情報を公開してくださっている全ての方に、篤く御礼申し上げます。

トップページに戻る

7 件のコメント:

  1. 執筆大変お疲れ様でした。こうした記事は、自分の頭の中で作り上げた「放射能」に怯える人たちに、正確な知識を伝える上で非常に有用だと思います。

    ところで、論旨とはいささか外れた部分で質問があるのですが、もしご存知であれば回答を頂ければ嬉しく思います。

    放射線崩壊にはアルファ崩壊、ベータ崩壊、ガンマ崩壊の三種があり、このうちガンマ崩壊は放射線 (ガンマ線 = 電磁波 = 光子) を放出しますが、核種の変化は伴いません。つまり、半減期を伸ばすことなく、ベクレルの値を高める方向へ寄与する減少だと考えられます。このガンマ崩壊は他の二つの崩壊に比べてどの程度の頻度で発生するのでしょうか。

    励起状態の原子核におけるガンマ崩壊はきわめて短時間で発生するとのことなので、アルファ崩壊やベータ崩壊による核種変化に伴って発生すると考えられますが、たとえば、各種によってはアルファ粒子一個に対して10個、100個、あるいはより多くのガンマ粒子が放たれるとすると、単純に半減期の短さを放射能の強さの指標にすることができなくなるように思います。(要するに、私にはこのあたりの「相場」が分からないのです。)

    もちろん、内部被曝に関して言えば、透過力の高い (物質との相互作用確率の低い) ガンマ線の影響はアルファ線やベータ線と比較すれば格段に小さいことは容易に理解できるので、(まともな被曝研究において) 大きな問題として取り上げられていないのであろうことは承知している、ということも言い添えておきたいと思います。

    返信削除
    返信
    1. >nrtさん
      いらっしゃいませ。kikulogでお見かけしたnrtさんと同じ方でしょうか。
      さて、御質問の件ですが、残念ながら私も知識不足にて明確にはお答え出来ません。可能なら物理学クラスタのどなたかにフォロー頂きたいところです。
      しかし、それだけ書いて終わりにするのも何ですから、一応私が(何となくですが)理解している範囲で書いてみます。

      まず、nrtさんも御理解されている様に、私も「γ線は他の崩壊に伴って放射される」と理解しています。そして、その際の「光子の個数」に関しては、おそらく「1個ないし2個(核種によって決まっている筈)」と考えています。
      Wikipediaで恐縮ですが、Cs137の例を挙げてみましょう。
      http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0137
      Cs137はβ崩壊してBa137になりますが、その際、95%はBa137の準安定同位体Ba137mとなり、これがγ線を放出してBa137に変化します。言い換えれば、Cs137の崩壊に際しては、Ba137mとBa137のエネルギー準位の差(最頻値で0.6617MeV)に相当するエネルギーがγ線として放出される訳です。
      ここで、そのエネルギーを受け取って出て行く光子は、1原子につき1個だと考えています。何故なら(逆説的な理解ではありますが)もし光子が複数個だとすると「放出されたγ線のエネルギーを測定して核種を推定する」のが非常に困難になると考えられるからです。実際にγ線スペクトルを測定して、0.6617MeVのところにピークがあればCs137が検出されたと読む訳ですから、γ線の光子は1個/原子でないと理屈が合いません。
      一方、Cs134の場合は、崩壊に伴って「2個の光子(γ線)」を放出し、そのエネルギーは(最も頻度の高いもので)0.796MeVと0.605MeVです(田崎晴明さんのページを参考にしました)。
      http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/housha/details/Cs137vs134.html
      この場合も、Cs134の崩壊で出て来る光子は2個に固定されており、1個になったり3個になったりはしないものと理解しています。

      という訳で、結論としては「核種によって放出される光子の数は決まっており、通常は1個ないし2個である」というのが私の理解です。但し、ここでもう一つ注意すべきは「放射線の強さは、その持っているエネルギーによって変わる」という点です。一口にγ線と言っても、上に書いた様に様々なエネルギーのものがあるので、γ線というだけで一くくりにも出来ないだろう、という事です。
      充分なお返事ではないと存じますが、現状で私が理解しているのは、この程度です。

      削除
  2. ガンダムのあらすじは笑いましたw
    Ctrl+Z はご愁傷様でした。Ctrl+Y は効きませんでしたか?

    返信削除
    返信
    1. >匿名さん
      いらっしゃいませ。コメント有り難うございます。
      ガンダムネタに反応してくださる方がいらっしゃるのは嬉しいです。勿論お解かりになっているとは思いますが、敢えて野暮な解説をしますと「あんなデタラメを書いている様な状態で、本筋だけ正しいなんて事があるのか(いや、あるかもしれないけど確率はとっても低いよね)」という意味でした。
      Ctrl+Yは試してみなかったです。咄嗟の事で対応できませんでしたorz
      で、最後に、誠に申し訳ありませんが、当ブログにコメントされる方には、ハンドルネームの設定をお願いしております。勿論、本名である必要はありませんが、主に、1)こちらからお呼び掛けするのに不便である、2)誰がどの発言をしたかが解る様にしておきたい、という2つの理由から、その様にさせて頂いております。
      次回から(もしあれば)で結構ですので、宜しくお願い致します。

      削除
  3. 1、wbcが正確に被曝を測定できないのでは?

    2、そこで測られた被曝量がわかっても、それが障害がでるラインなのかどうか基準が低線量被曝について研究蓄積があまりない以上、意味がないのでは?

    3、そこにお金が落ちるということは?もっと他にお金の使い道があるのでは?

    という疑問点、
    そこを中心に評論でなく論文のように組み立てていただけると読み応えがあったのにと思いました。

    そして福島の方たちが一番欲しいものは、wBCで測ってもらって果たして有効な施策、治療等が受けられるのか?ってことだと思います。プルシアンブルーやらキレート剤やら放射線医学研究所が持っている高線量被曝での知見が活用してもらえるのか?

    遮蔽だなんだといっているのですが、ウクライナとかで図っている映像を見ても遮蔽なんかしていないです。日本にも人間に関する急性被曝以外の詳細なデータはないらしい。また定量下限値が非常に高いらしい。
    果たしてそういう中で正確な判断なんかできるのか?

    WBC関連にどんどんお金を落としていいのか?という疑問もあるのではと思います。

    「真実はどこに?」という海外のドキュメンタリーを見てください。国連機関と原子力機関の関係と低線量長期被曝について色々なことが分かると思います。

    全体としてなんとなく結局雰囲気批判になっちゃっているという印象です。ご苦労さまでした。

    返信削除
    返信
    1. >匿名さん
      いらっしゃいませ。
      上の匿名さんにも申し上げましたが、当ブログでは、コメントに際しては、ハンドルネームの設定をお願いしております。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
      実は、批判的なコメントは歓迎なのです。何故なら、自らの論を磨くのに役立つからです(但し、態度が悪いのは論外ですが)。
      という訳で、順番に御指摘にお答えしていきたいと思います。

      >1、wbcが正確に被曝を測定できないのでは? <
      これは「どの程度までの正確さを求めるか」という問題だと思います。およそ世の中には「誤差ゼロの測定法」などというものは存在しませんので、通常は測定の正確さ・手間と労力・費用・受ける側の負担などの要素を考慮して行う訳です。WBC(に限らず放射線を測定する場合には一般的に)は測定時間が短いほど精度は低下します。そこは手間や負担とどこまで精度を求めるかの兼ね合いになります。
      いずれにしても「完全に正確な値が出ないから役立たず」という様な判断にはならないと考えます。

      >2、そこで測られた被曝量がわかっても、それが障害がでるラインなのかどうか基準が低線量被曝について研究蓄積があまりない以上、意味がないのでは? <
      これには2つの点から異論があります。まず、そもそも測らなければ低線量被曝なのか高線量被曝なのかすら、解りません。測らずに低線量被曝と(推定する事は可能ですが)決め付けるとすれば、問題です。
      次に「低線量被曝についての研究蓄積が無いから障害が出るかどうか意味が無い」という御意見は割と良く見掛けます。しかしそれは違います。端的に述べれば「低線量被曝について良く解っていない」とは「低線量被曝がどれほど危険か解らない」という意味ではないのです。低線量被曝の危険性は、最大限に大きく見積もっても、高線量被曝の害よりも少ないのです。そして、高線量被曝に関しては、知見がある。そういう意味です。

      >3、そこにお金が落ちるということは?もっと他にお金の使い道があるのでは?<
      利権という事を仰りたいのでしょうか。確かに、利権はあるかもしれませんし、無いかもしれません。しかし、単に「他の使い道」と言われても困ります。「WBCを止めてまでも」やらなければならない事とは何なのでしょうか。
      ところで、最近の報道等を見ますと、政府と役人の復興予算の使い方はメチャクチャな様ですね。敢えて申し上げれば、WBCなどを槍玉に挙げる前に、それこそ「他の使い道があるのでは?」と追求しなければならない復興予算の無駄遣いは幾らでもある様に思います。

      >そこを中心に評論でなく論文のように組み立てていただけると読み応えがあったのにと思いました。<
      タイトルに示しました通り、今回の記事は「ダメ出し」です。ネットに出回っているデタラメをデタラメであると指摘する事が目的でした。

      >そして福島の方たちが一番欲しいものは、wBCで測ってもらって果たして有効な施策、治療等が受けられるのか?ってことだと思います。プルシアンブルーやらキレート剤やら放射線医学研究所が持っている高線量被曝での知見が活用してもらえるのか? <
      これは私見ですが、低線量被曝であれば、そういった治療は不要と考えます。

      >遮蔽だなんだといっているのですが、ウクライナとかで図っている映像を見ても遮蔽なんかしていないです。<
      それは「ウクライナでの被曝量が高い」からです。被曝量が高ければ、放射線量が多いので、遮蔽をしなくても検出できます。逆に言えば、福島の人達の被曝量はウクライナよりもずっと少ないので、きちんと遮蔽して測らないとバックグラウンドノイズに埋もれてしまうという事です。

      >日本にも人間に関する急性被曝以外の詳細なデータはないらしい。また定量下限値が非常に高いらしい。 果たしてそういう中で正確な判断なんかできるのか? WBC関連にどんどんお金を落としていいのか?という疑問もあるのではと思います。 「真実はどこに?」という海外のドキュメンタリーを見てください。国連機関と原子力機関の関係と低線量長期被曝について色々なことが分かると思います。 <
      ドキュメンタリー云々はともかく、論点としては既に仰られた内容と重複していると読みましたので、私からの反論を繰り返す事は致しません。

      >全体としてなんとなく結局雰囲気批判になっちゃっているという印象です。ご苦労さまでした。<
      そうですか。私としては、今回の記事は、全ての論点に関して「根拠」と「論理」に基づいて論証を行ったつもりです。それを「なんとなく結局雰囲気批判」と思われるのは、とても心外ですが、その様に読み取られる方もいらっしゃるという事ですね。もし宜しければ、どのあたりが雰囲気批判なのか、具体的にお示し頂ければ、と思います。「全体として」と仰る位ですから、幾つも挙げて頂けるのではないかと期待しております。

      削除
  4. 引用元の記事、何箇所かに転載されている様ですね。
    「原発はいますぐ廃止せよ」というブログでの転載 ttp://pfx225.blog46.fc2.com/blog-entry-1288.html
    阿修羅掲示板への転載 ttp://www.asyura2.com/12/genpatu21/msg/892.html
    更に、それをTwitterで拡散しているのが自称医療ジャーナリストの伊藤隼也氏(私はブロックされている(笑)ので、菊池誠さんの非公式RTを貼っておきます) https://twitter.com/kikumaco/status/236667441416114176 や、自称総合臨床医の「きむらとも」氏 ttps://twitter.com/kimuratomo/status/233139742638759936 です。
    (菊池さんのTweet以外は、リンク冒頭のhは取ってあります。これは、神経質過ぎるかもしれませんが、リンク先がgoogle等での検索エンジンに捕捉されて欲しくないからです。リンク先を見たい方は、お手数ですがブラウザのアドレスバーにコピペしたうえで、冒頭にhを補ってください)

    返信削除

コメントは承認制です。投稿してもすぐには反映されません(平均して何日か、時には何週間もお待ち頂く場合もありますので、どうか御容赦ください)。
コメントを投稿される際は、ハンドルを設定してください。匿名投稿も可能ですが、これはブログの仕様です。
お名前の入力をお願い致します(勿論、本名である必要はありませんし、URLの入力も任意です)。