コミケを風疹から守り隊

2013年2月5日火曜日

経済メモ:景気・金融・財政などの話(アベノミクスで景気は回復したか?)


初回公開日:2013年02月05日
最終更新日:2020年09月03日

1.はじめに

第二次安倍政権が2012年12月に発足し、いわゆる「アベノミクス」と呼ばれる一連の経済政策が示されました。そして、その直後から株価は復調し円高も是正される傾向にありました。これはおそらく、少なからず「期待感」による部分があるのだと推測します。
では何故「アベノミクス」によって景気が回復すると期待されたのでしょうか。
そして何故「アベノミクス」は腰折れしてしまったのでしょうか。
今回はそのあたりを理解する一助になればと思い、主に「金融緩和をすれば景気が良くなるのか」という点を中心にして、ごく基本的な部分(つまり私が理解している範囲内の内容)を述べたいと思います。

当ブログには少数ながら「経済」タグの記事がありますが、総じてアクセスは少なめです(笑)。それも当然と言えば当然かもしれません。しかし、それでもやっぱり「書いた以上はなるべく多くの方々に読んで頂きたい」と思うのも人情です。
という訳で、宜しければそちらも併せてお読み頂ければ幸いです。
私は経済については勉強中の素人ですから、もしもおかしな点があればツッコミを歓迎します。

また、念の為付け加えておきますと、私は安倍政権には大きな問題があると考えています。
少なくとも教育分野に関しては、はっきり「トンデモと言っても構わないレベルだと判断しています。
また憲法改正に関しても賛同できない事ばかりです。
更に言えば、ここで取り上げる「アベノミクス」ですら、財政政策に関しては問題ありと考えます。
しかし、それらの問題点を別にしても、金融政策は強く支持します。これは是々非々です。
以上の点を御理解の上で、お読み頂ければ幸いです。
ちなみに今回も、ちょっと長めです(^^;これでも削ったんですけどね。

2.インフレ(デフレ)とは何か?

おそらく多くの方々は「インフレとは物の値段が上がる事、デフレとは物の値段が下がる事」とお考えだと思います。それは必ずしも間違いではありませんが、ちょっと不正確な認識です。
より正確に述べるなら「インフレとはお金の価値が下がる事、デフレとはお金の価値が上がる事」となります。
これは最初の言い方とは反対側から見た定義なので「お金の価値」といっても少し解り難いかもしれません。そこで、元の側から述べ直してみます。インフレ(デフレ)とは、物の値段だけに留まらず、お金と交換可能な全ての存在の価値が上がる(下がる)事です。例えば「物以外でお金と交換可能な存在」の代表は、労働やサービス(大雑把に言い換えれば「賃金(給料)の対価」)です。従って、わざと皮肉な言い方をしようと思うなら、物の値段とは違う面「だけ」を取り出して「インフレとは給料が上がる事、デフレとは給料が下がる事」と表現しても、間違いではありません。
但し「いや、デフレだと言うけれど、俺の給料は下がってないよ」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。これは「賃金の下方硬直性」と呼ばれる現象です。詳しい説明は省略しますが、要するに、貴方(上記の様な意見を仰る方は、おそらく正規社員でしょう)の賃金は下げ難いので、その分を、パートタイムなど非正規の人の賃金を下げたり、極端な場合は解雇したりする事で補っている筈です(これが「正規労働者と非正規労働者の待遇格差の拡大」という現象です)。またなるべく新規採用も抑制しようとします。その為に就活が厳しくなります。つまり全体として見れば「賃金は下がっている」と言えるのです。但しややこしい事に、この場合に実質賃金は「上昇」します。非正規の人をクビにして正規職員ばかりになれば、一人あたりが受け取る給料の平均は増えるからです。
逆に言えば、デフレが解消されインフレが始まったとしても、すぐには給料が上がらないでしょう。最初は、雇用の改善により失業率が下がるという形で現れると予想されるからです。そしてこの場合、上記とは逆のメカニズムにより、当初は実質賃金は「低下」します。この傾向は失業率が十分に低下するまで続きます。つまり、完全雇用が達成されれば、実質賃金の低下に歯止めがかかり、次いで上昇に転じる筈です(が、アベノミクスはそこまで到達できませんでした)。
この例からも解ります様に、全体として変化している状態であっても、部分を見れば変化に斑があり、一様ではありません。こうした「歪み」が拡大していく事が、現実に様々な問題を引き起こしたりします

3.景気が良いとは?悪いとは?

これはなかなか説明が難しいです。ですので、感覚的・具体的な部分から話を進めたいと思います。

まず「凄く景気が良い」とはどういう状態を指すのでしょうか。
景気が良い時には、どんどんお金が儲かります。働き口は幾らでもあり、給料も順調に上がります。たくさんお金が入ってくるので、誰もが派手にお金を使う様になります(勿論個人差はありますが、全体の傾向としては明らかにそうなります)。
その様にして、皆がお金を使う様になると、物の値段は上がります(高くても売れるので)。物の値段が上がれば、企業や個人商店の売り上げも増え、業績が上がります。すると商店主や社員の報酬(給料やボーナス)が増えます。入ってくるお金が増えるので益々お金を使う傾向に拍車が掛かり、物の値段が上がります。すると、これまでお金を貯め込んであまり使わなかった人も「値上がりしているのだから、後で買うよりも今買う方が得だ」となってお金を使う様になります。
そして更に売り上げが増え…と続きます。

「凄く景気が悪い」時は、この全てが逆になります。
全然お金が儲からず、働き口もありません。何とかようやく勤め口にありついたとしても、待遇は悪く給料も少ないブラック企業だったりします。皆が節約に走り、少しでも安い物を求めます。安くないと売れないので、企業は商品の値段を下げます。すると売り上げも減りますので、従業員の給料を減らしたり、下請けに払うお金を減らそうとします。給料や売り上げが減ると益々生活が苦しくなり、更に安い物しか買わなくなります。物の値段が下がる傾向にあるので、お金を持っている人もなるべく使わず、欲しい物でも安くなるのを待ってから買おうとします。
すると益々売り上げは減り…となります。

以上の説明でお気付きになったと思いますが、景気が良い時はインフレ傾向になり、景気が悪い時はデフレ傾向になります。そしてこれは「景気改善(悪化)→インフレ(デフレ)」の一方向だけではなく、双方向に作用します。つまりインフレは景気を刺激し、デフレは景気を冷え込ませます。上述の景気に関する記述をもう一度お読み頂ければ、感覚的にも理解できるかと思います。
さて、昨年までの日本は景気の冷え込みがデフレを呼び、そのデフレが更に景気を悪化させるという悪循環に陥っていました。これが、デフレスパイラルと呼ばれる現象です。
逆に言えば、人為的にインフレを起こす事が出来れば、このデフレスパイラルを止め経済を活性化させ景気を刺激する効果が期待できます。但し急激なインフレは悪影響が大きいので、あくまで穏やかなインフレに留めておく必要があります。これがリフレ(リフレーション)です。
リフレを起こすのに最も確実な方法は「世の中に出回っているお金の総量を増やす事」です。一般的に「ありふれたモノの価値は低く、希少なモノの価値は高い」という法則がありますので、お金の量を増やせばお金の価値が下がり、リフレ効果が期待できます(詳細は後述)。

最後に、表現を変えて、もう一度景気の説明をしてみます。

景気に似た言葉に「金回り」という語があります。景気は個人にも社会全体にも用いられる言葉である一方で「金回り」はもっぱら個人や団体を表現し社会全体にはあまり用いられないという違いはありますが、その意味する所は良く似ています。即ち「金回りが良い≒景気が良い」であり「金回りが悪い≒景気が悪い」なのです。
私達が支払ったお金は必ず「誰かが」受け取るのであり、逆に私達が受け取るお金は必ず「誰かが出したお金」です。ですから社会全体として見れば、沢山支払う事は沢山受け取る事であり、沢山受け取る事は沢山支払う事なのです。従って
「皆が沢山受け取り沢山支払う→金回りが良い→景気が良い」であり、
「皆が少ししか受け取らず少ししか支払わない→金回りが悪い→景気が悪い」となります。

4.景気対策の分類と目的、方法

1)景気対策の分類と目的
景気対策を大きく分けると、金融と財政の2つです。金融政策とは、世の中に出回っているお金の(相対的な)量と回り易さをコントロールする為のものであり、国の中央銀行(日本では日銀)が行います。一方の財政政策とは政府の収支を変化させて政府から国民に渡るお金(の絶対量)をコントロールするものであり、政府が行います。一言で述べれば、どちらも前述の「金回り」をコントロールしようとしている訳です。
現在は景気が悪いので、景気対策と言えば景気刺激策を意味します。但し、広い意味での景気対策とは、景気の良い時に過熱しない様にコントロールする事も含みます。つまり景気の悪い時は良くなる様に景気を刺激し、景気の良い時には過熱しない様に抑制するのが、景気対策の目的です。

2)景気対策の方法
上で述べた通り、景気対策には金融と財政の2つがあります。繰り返しになりますが、これらの方法論を極めて大雑把に述べると、金融政策とは金利の調整や国債の売買による通貨量のコントロールであり、財政政策とは公共事業や減税(増税)、補助金などによる政府支出のコントロールです。
即ち、
金融緩和:金利を下げたり国債を買い入れたりして市中の現金量を増やす。
金融引き締め:金利を上げたり保有国債を売ったりして市中の現金量を減らす。
財政出動:公共事業や補助金を増やし減税を行い、政府から国民へお金が流れる様にする。
財政引き締め:公共事業や補助金を減らし増税を行い、国民から政府へお金を吸い上げる。
となります。そして、

景気の悪い時:金融緩和・財政出動を行い、景気を刺激する
景気の良い時:金融・財政とも引き締めを行い、景気が熱し過ぎない様に抑制する。
という事です。

5.景気対策のメカニズム

金融政策や財政政策は、どの様なメカニズムで景気に影響を与えるのでしょうか。ここでは、景気刺激策(金融緩和と財政出動)を例にとって考えてみます。景気抑制策(引き締め)の場合は、全く逆に考えれば良いでしょう。

1)金融緩和による景気刺激
まず金利の話をします。
もう長年ゼロ金利が続いているので金利が調整できるという実感を持たない人も多いでしょう。しかし、高度経済成長時代を思い出してみましょう。当時は、定期預金の金利が5%以上ありました。しかもマル優といって、元金300万円までの利息は非課税だったのです。つまり300万円を定期預金にすると、1年で15万円の利息が貰えるのです。
もしも現在こんな好条件があったら、お金を預けたくてたまらない人が続出する筈です。この様に、金利が高ければ高い程、預貯金に回るお金が増え、消費されるお金は減ります。従って、金利を下げれば預貯金は減り、その分消費され易くなる傾向が期待出来ます。
これが、金利の切り下げによる景気刺激です。
但し御承知の様に、日本ではとっくにこの手段を使い切ってしまいました。私見では、これは「量的緩和を行わず金利調整だけで景気対策を行おうとした」からだと考えています。

次に国債買入の話です。
国債は、国の借用証書であり、国債の所有者に元金と利息を支払う事を約束するものです(但し、現金も日本銀行が発行するものなので「国家が価値を保証している」という点に於いては国債と現金との間に本質的な差は無いとも言えます)。
民間銀行などは預金者から集めたお金で国債を購入します。すると、預金金利と国債金利との差が銀行の儲けになります。現在の様に景気が悪くお金を借りてくれる人が少ない状況だと、銀行が国債を買う比率が高めになりがちです。
こうした状況の際に日銀が国債の買入れを増やすとどうなるでしょうか。各銀行が所有する国債が減り、代わりに現金が増えます。すると銀行は、現金を運用して利益を上げる必要に迫られ、これまでよりも積極的に貸し出し(融資)を行う様になります。つまり、融資の条件が良くなる(お金が借り易くなる)事が期待できます。お金を借り易くなれば、企業も機械を買い替えたり工場を拡張したりし易くなります。すると機械を売ったり工事をしたりする人が儲かります。
この様にして世の中にお金が回る様になっていきます。これが日銀の国債買入による景気刺激です。
また、政府の持っている国債を日銀が買う方法もありますが、これは厳密には金融政策とは少々異なります。何故なら、これを行うと政府の持っているお金が増えるので、より積極的な財政出動が可能になるからです(なお、この方法を「禁じ手」と呼んで非難する人が居ます。長くなりますので今回は詳しく述べませんが、これは何重もの意味で嘘です)。

2)財政出動による景気刺激
最初に減税の話をします。
減税をすれば、政府(や地方自治体)から個人や企業に直接お金が流れます。従ってこれは金融緩和と似た効果をもたらします。これも私見ですが、財政出動の中では減税こそが最も有効な景気刺激策だと考えています。

次に補助金の話です。
補助金も政府から個人や企業にお金が流れる事には変わりありません。しかし減税に比べると補助金は、特定の条件を満たした時にお金が貰えるというものです。従って政府がある方向に国民を誘導したいと思った時には、減税よりも補助金の方が有効です。逆に言えば、景気刺激という観点からは、効率が低下する恐れがあります。
更に、事務処理が増加する、利権に繋がり易い、等の問題もあります。いずれも景気刺激という観点からは効率を低下させる要素だと言えます。

最後に公共事業です。
公共事業は、政府がお金を出して民間に事業を発注します。受注する側からすれば、仕事を行って政府から報酬を得る訳ですから、解り易い景気対策だと言えます。
ただ問題は、受注出来た人と出来なかった人との間に差が生じる事です。受注した側は下請けに仕事を回したり材料を購入したりして経済が回っていく訳ですが、その効果がキチンと波及していくのか。極端な話、請け負った公共事業を遥かに少ない金額で下請けに丸投げし、差額を懐に入れてしまえば、政府が支出したお金の一部分しか景気刺激には寄与しないという事になります。
また補助金と同様に、事務処理や利権の問題も無視できません。

以上をまとめますと「財政出動による景気刺激効果をなるべく大きくする為には、それが恣意的に用いられない様に厳しく監視する必要がある」と考えています。

ところで、こうした財政出動の話をすると、往々にして「財源はどうするのか」と言い出す人が居ます。確かに、政府支出を増やすとなればお金が足りなくなる様な気もします。しかし、ここで思い出してください。そもそもお金とは国が作ったものです。つまり現金とは(国の機関であるところの)日本銀行が印刷した紙です。だから印刷して増やせますが、ただ刷っただけでは日銀の外へ出せません。そこで主に「国債を買う」という形でお金を日銀から政府に渡します。これが財源になります。
つまり一言で言えば「財源は国債」となります。しかしこれを「国債は国の借金」と考えてしまうと本質を見誤ります。何故なら(繰り返しますが)政府も日銀も「国の機関」だからです。なので「政府が日銀にお金を借り」ても国の機関同士、いわば内輪の話なので、国民がそれを返す義務は当然ありません(ちなみに日銀が得た国債の利子収入は国庫金として政府に支払われます。つまりぐるっと一回りして戻ってくるだけです)。
では国は無制限にお金を増やせるのか、というとそうでもありません。お金を増やせば増やす程インフレ圧が高まりますので、インフレ率を見ながら調整する必要があります。
逆に言えばデフレ脱却の為には、もっと国債を増やす方策が有効です。

6.アベノミクスの問題点

ここまで、金融緩和と財政出動による景気刺激策について述べてきました。これは一言で言うならば「世の中にたくさんお金が回る様にする為の政策」であると言えます。
ここで大きな問題になるのが「お金が回る様になっても、皆がその恩恵にあずかれるのか?」という点です。
例えば、お金の総量が増えても、それが社会の隅々にまで行き渡るのには時間が掛かります。極端な場合、金持ちの間だけでお金が回り、貧しい人達はそのまま(むしろ、より悪くなる)という事態もありえます。これは公平性の観点からも勿論問題ですが、困るのはそれだけではないのです。金持ちはお金が増えても使う量はそれほど増えないという傾向がありますので、金持ちの間に富が滞ってしまい貧しい人に行き渡らないのは、経済の活性化(景気刺激)という点から見ても大きな問題です。
これを防ぐ為には「再分配」という考え方が重要です。簡単に述べれば「再分配」とは富が社会に偏在しない様に、社会の隅々までお金が回る様に、沢山あるところから吸い上げて不足しているところに供給する事です。これは金融政策だけで実現するのは困難であり、どうしても財政政策の力が必要になってきます。

では、アベノミクスは再分配と景気刺激の観点から見て適切なものと言えるのでしょうか。
残念ながら、私にはそう思えません。良い部分もありますが、悪い部分が目立ちます。

先に良い部分を書いておきます。
私が良いと思ったのは、富裕層に対する課税強化と、雇用促進に対する減税です。これらは再分配と景気刺激に寄与する施策です。
一方、悪いと思った部分は、生活保護費の削減や最低賃金の引き下げ、高校無償化の所得制限、公務員給与や退職金の引き下げ、そして未だに消費税増税を既定路線にしている事などです。これらはいずれも、政府から国民に流れるお金を絞り国民から政府にお金を流そうとする動きです。つまり、財政政策としては、引き締めに含まれる内容であり、景気を回復させようという時に行うべきものではありません。特に増税に関しては、前項で「減税が財政出動の中では最も有効」と書いた事からも解ります様に、景気を回復させようとする際には最も行ってはいけない政策だと考えています。
更に、生活保護の削減に代表される様な「貧富の差を拡大させる政策」は再分配の観点からも愚策であり、景気回復を阻害させる要因にもなります。

以上より、安倍政権のやっている事は(野田政権、及び、第一次安倍内閣を含む過去の自民党政権に比べれば遥かにマシだとは言え)、数々の矛盾を抱え込んでいます。喩えるなら「アクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態」であると考えます。
冒頭に述べた様に、金融政策は良いでしょう。最大の抵抗勢力である日銀、そしてその影響を強く受けている一部のマスコミをどこまでコントロール出来るかが課題ではありますが、方向性は間違っていません。
しかし、財政政策には、上述の如く様々な問題があります。
一体、どうして、そうなってしまうのでしょうか。
その原因を、次項で探ってみたいと思います。

7.アベノミクスが抱える矛盾の原因

前項で述べた様に、アベノミクス(の財政政策)は大きな矛盾を含んでいます。おそらくこれは政府・与党内・各省庁に様々な思惑や利益相反が存在する為だろうと推測しますので、それらを個別に述べていきます(この項の内容は、その殆どが私の個人的な推測です)。

1)政治家の問題
金融政策に関しては、浜田宏一氏という専門家をブレーンに迎えた事もあり、正しい方向に向かっています。問題があるとすれば、上述の如く、日銀とマスコミでしょう。
しかし財政政策に関しては違います。財政出動による景気刺激は過去にも行われてきた方法であり、それだけに麻生財務相をはじめとする閣僚や自民党の議員は「自分達は財政政策について良く知っている」と思っているのではないでしょうか。
しかし、彼らが大きく勘違いしている点があります。
それは「財政政策は金融政策あってのもの」だという事です。そもそも自民党はバブル崩壊後の殆どの期間で政権の座にあった訳ですから「財政出動だけではマトモに景気を回復させられなかった」という事実に対して、もっと謙虚になるべきです。
しかしどうやら現実は逆の様です。むしろ「自分達に理解できる」という理由で、財政に過度の期待を掛けている様に見えて仕方がありません。
金融政策の重要性について、彼らはもっともっと肝に銘ずるべきです。
特に麻生財務相は「日銀法の改正は不要」と発言したり、将来の更なる消費税増税の可能性に言及したりするなど、既に財務省に取り込まれているのではないかと思われる節があり、一番の不安材料です。更に言えば、前述の浜田氏ですら消費税増税を否定していないという点が大きな問題です。

2)官僚(財務官僚以外)の問題
各省庁は、(減税以外の)財政出動に大きな期待を寄せている筈です。何故なら、公共事業や補助金で予算を獲得できれば、それを執行する際に自分達の裁量が使えるからです。はっきり言えば、利権が発生し易くなります。
省益を増大させる為には民間に対する影響力が大きい方が良いですから、こうした予算の金額は大きければ大きい程、都合が良い事になります。減税で直接国民にお金が渡ってしまえば、自分達が影響力をふるう場面が減ってしまいます
という訳で、どの省庁も、公共事業や補助金を獲得するのに一生懸命になるのでしょう。勿論、私だって適正な規模で公正なものまで否定するつもりはありません。特に社会インフラ整備の為の公共事業には必要不可欠なものが多く含まれます。
しかし、果たして省庁の内側に居て、省益に左右されないで規模の適正さや公正さや必要性を正しく判断できるのでしょうか?昨年の、復興予算が付いた際の「建前だけ復興の看板を付けた予算の分捕り合戦」などを見ても、到底信頼に足るとは思えません。

3)財務官僚の問題
財務省の場合は、他省庁とは事情が異なります。何と言っても、予算を配分する側なのですから、他省庁の様に、予算獲得に血道を上げる必要性は乏しいです。
では彼らが何に心を砕いているかと言うと「支出を減らす事」と「収入を増やす事」です。まぁ、金庫番としてはある意味当然の心理かもしれません。
支出を減らそうとする立場からすれば、とにかく「財政出動による政府支出の増大」なんてのは嫌な訳です。そこで、どこかで支出を絞って帳尻を合わせようとする。その結果が、生活保護や公務員人件費の削減だという訳です。
しかし、既に述べた通り、この考え方は間違っています。
財政出動の目的はあくまで景気回復なのですから、政府支出が増大するのは当然です。そうでなければ意味がありません。確かに平成25年度の予算規模は増大していますが、だとすれば尚更、こういうセコい削減を行って景気回復に冷水を浴びせる様な事は慎むべきです。
どうも財務省的には「税収>新規国債発行」という点にこだわりたかったみたいですね。その気持ちは解らないでもないですが、そういう単年度の表面的な部分に拘泥するのは弊害の方が大きいでしょう。何故なら、景気が回復すれば税収は自然に増えるからです(後述)。それを、景気回復の腰を折る様な事を敢えてするのであれば、財務省が政府と国民の首を絞めているのも同然ですよ。
一方「収入を増やす」方についても、大きな問題を含んでいます。
政府の収入を増やすのに最も有効なのは、税収を増やす事です。景気が回復すれば企業や個人の収入が増えますから、法人税も所得税も、自然に税収が増えます。そして、インフレになれば、新規国債の発行は大変になるかもしれませんが、逆に既存国債の償還は楽になります。
つまり、リフレーションが上手くいけば、税収の自然増によって新規国債の発行額を抑えられますし、既存国債の償還も進みます。ですから、今後未来に渡って財政再建を本気で進めていくつもりがあるのなら、景気回復は極めて重要な筈です(←但し、本質的な問題として、そもそも財政再建など不要です。何故なら、国の財政赤字は経済規模と強く相関するからです。つまり経済成長をしている先進国では軒並み累積財政赤字は拡大し続けており、更に言えば財政赤字の伸び率と経済成長率との間にも強い相関があるからです)。
しかし、どうも財務官僚的には「景気回復による税収増」など嬉しくないようです。
これは以前の記事「消費税増税の光と闇」でも少し触れましたが、景気が回復して税収が増えても、それは財務官僚の手柄にはならないのです。逆に、新しい税を創設したり、既存の税率を上げたり出来れば(たとえそのせいで景気が悪化したとしても)財務官僚の業績になるらしいのです(例えば、少し古いですが上記の記事でもリンクしましたこちらのTweetを御参照ください)。

これではまさに 省益>>>>国益 と言う他は無いでしょう。

但し、もしかしたら個々の官僚は「自らの都合を顧みず我が身を捨てて組織の為に尽くしている」のかもしれません。実際、そういう方もいらっしゃると思います。
しかし問題は「組織とは何なのか、何の為に存在するのか」です。組織の利益が自己目的化しているのではないかと危惧します。
但し、これは別に、財務省に限った事ではありません。会社組織でも、政治家の事務所でも、プライベートな趣味の集まりでさえも、およそ組織であれば、何時でも何処でも起こり得る事です。己を捨てる利他心の強い人ほど、外から見れば組織の事しか考えていない、傍迷惑な存在でしかない、という現象は、しばしば起こります。これは私自身の乏しい経験に照らしても言えます。個人としては普通の物解りの良さそうな人なのに、組織を代表したり代弁したりする立場で話し始めた途端、訳の解らない屁理屈や詭弁を振り回す様になった例を幾つも知っています。
ちなみに、私はこれを「集団利己主義」と呼んでいます。外から見れば利己主義以外の何者でもない、にも関わらず、中にいる人達はその利己性を自覚し難い、むしろ自分達は利他的だと考えかねない点が特徴です。
この「集団利己主義」の問題は「正義や善意の暴走」と並ぶ程の大問題ではないかと考えているのですが、長くなりましたので今回はここまでにします。

4)大企業の問題
大企業、特に輸出関連企業は、長引く円高デフレ不況によって苦しめられてきた被害者でもあります。そうした状況に対応する為に企業は何をやってきたか。コストカットにも限界があります。
そこで企業は「海外移転」を進めてきました。現地で材料を調達し、現地で雇用し、現地で生産し、現地で販売する。そうすれば、為替変動の影響を最小限に抑えられます。
その結果生じてきたのが「国内産業の空洞化」です。
海外移転を進めた結果、国内の直接雇用が減少しただけではなく、下請けの仕事も激減しました。その事が更に、景気そのものと雇用情勢の悪化をもたらしています。
こうした状況でリフレが起こったとして、海外移転した部分がどこまで戻ってくるかが心配です。
国内に残っている部分は息を吹き返すでしょうが、果たしてそれだけで足りるのかどうか…
一方で、既に海外移転が進んだ企業からすれば、今更インフレになろうが円安になろうが(嬉しい事は嬉しいけれど)極端に大きな影響は無いのかもしれません。それよりもむしろ、公共事業や補助金を獲得し、そして法人税を減税して貰った方が、旨味は大きいと判断しているかもしれません。
こうした思惑が、財政出動偏重の傾向に拍車を掛けるのではないかと危惧しています。

8.謝辞

今回は、WebやTwitterで目にするリフレ派の方々と、リフレーションに理解のある全ての方々に感謝を申し上げます。
と言っておいて何ですが、実は私は「リフレ派」という言い方は好きではありません。これだと何だか「何が何でもリフレをしろ」と主張している様にも見えてしまいます。そうではなく「現在の日本が深刻なデフレ不況に陥っているから、それに対する最も効果的な対策としてリフレを行え」と言っているだけなのです。
ですから、もしどうしても「○○派」という呼び方をしたいのであれば「適切な経済政策を臨機応変に行え派」とでも呼んでください。長くて呼び難いですけど(^^)


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3 件のコメント:

  1. 「請け負った公共事業を遥かに少ない金額で下請けに丸投げし、差額を懐に入れてしまえば、政府が支出したお金の一部分しか景気刺激には寄与しない」という考えと減税が最も有効という考えと「再分配」が重要というのがが並び立つのは不思議です。

    もちろん誰かが懐にいれるという状態は乗数効果がでないのでよろしくない事態ではあります。

    減税というのは大体誰かが懐に入れるに近い効果があるでしょう。再分配が重要なら減税がbestとはならなそう。

    問題が難しくて、私にはこのようにするのがいいだろうという判断はできませんが、このエントリーは論がちぐはぐになっているという印象を受けます。

    返信削除
    返信
    1. >匿名さん
      いらっしゃいませ。お待たせ致しました。
      最初にお願いです。当ブログでは一番上に書いてあります通り「名無し」でのコメントは御遠慮頂いております。勿論、本名は求めませんが、次回からはハンドルを設定して頂く様お願い致します(今回より、コメント欄にも同様の記載を追記しております)。

      >「請け負った公共事業を遥かに少ない金額で下請けに丸投げし、差額を懐に入れてしまえば、政府が支出したお金の一部分しか景気刺激には寄与しない」という考えと減税が最も有効という考えと「再分配」が重要というのがが並び立つのは不思議です。

      うぅむ、私の書き方が悪いのでしょうか。この点については後で御説明致します。

      >もちろん誰かが懐にいれるという状態は乗数効果がでないのでよろしくない事態ではあります。

      「乗数効果」という言葉をお使いですので、それなりの知識はある方だとお見受けします。その点も踏まえて、御説明を試みます。

      >減税というのは大体誰かが懐に入れるに近い効果があるでしょう。

      うーん、そうでしょうか。ここには2つほど異論があります。
      まず「誰かが」と仰いますが「では誰なのか」という点です。上述の公共事業の場合は「懐に入れる」のは請け負った企業・団体ですよね。一方、減税の場合は、税の種類によっても変わります。私がその点を明確に書かなかったせいかもしれませんが、例えば消費税の減税であれば、ほぼ全ての国民にお金が渡ります(政府に取られないと言った方が良いかもしれませんが)。
      2つめは「乗数効果」の議論でもご承知だとは思いますが「懐に入れる」の程度問題です。公共事業を請け負える様な「優良な」企業であれば慌てて設備投資をしなくても賃金を上げなくても済むので、内部留保に回る可能性が高まります。つまり乗数効果は低くなります。
      一方で、消費税の減税では、貧しい人も資金繰りに苦しい零細企業にも恩恵があります。貧しくて日々の暮らしにも困っている人は、多少お金があってもすぐに使わざるを得ません。資金繰りに困る企業も同様です。ですから乗数効果が高くなります。

      >再分配が重要なら減税がbestとはならなそう。

      上述した通り、特定の(優良な)企業・団体にお金を渡してそれが社会に波及するのを「待つ」公共事業よりも、貧しい人にも直接お金が渡る減税の方が、再分配機能は高いと考えています。
      それから、これは本文を御確認頂きたいのですが、私は「再分配の観点から減税がbest」とは書いていない筈です。例えば5.の2)では「財政出動の中では減税こそが最も有効な景気刺激策」と書いています。景気回復と再分配はどちらも重要な要素であり重なる部分も多いのですが、全く同じものではありません。
      むしろ私が再分配の観点から申し上げたかった事は「再分配が重要であるにも関わらず、生活保護を削減し最低賃金を切り下げ消費税を増税する様な、真逆の政策を行うのはマズい」という点です。

      >問題が難しくて、私にはこのようにするのがいいだろうという判断はできませんが、このエントリーは論がちぐはぐになっているという印象を受けます。

      という訳で、ちぐはぐではないと私自身は考えております。

      削除
  2. 本記事(の携帯端末向けページ)に付いたはてブを見ていたら、関連商品の所に小幡績著「リフレはヤバい」という本がありました。この本、結構売れているみたいですね。
    本そのものは読んでおりませんが、書評がこちら http://honz.jp/21706 にありましたので見てみました。
    あくまでこの書評を読んだ範囲内でしかありませんが、感想(と反論)を述べてみます。

    以下、引用は上記の書評からのものです。
    >本書によれば、リフレ派のポイントは以下のように要約できる。
    >①デフレが不況の原因である。
    >②円安になればインフレが起こる。つまり、デフレからの脱却は可能である。
    >③よって、円安インフレ政策によって、景気は回復する。
    とあります。

    まず①は間違いとは言い切れませんが、不正確です。デフレは不況の原因でもありますが結果でもあります。つまり、本文でも書きました通り、デフレと不況とは相互作用しており、インフレと好況も相互に作用しています。
    そして②も不正確です。円安とインフレには確かに強い相関がありますが、本来は別々のものです(為替について述べ始めると更に複雑になってしまうので、今回の記事では意図的に説明を省略しました)。簡単に反論しておくと、たとえ日本が鎖国をして貿易を一切行わなかった(そうすれば為替の影響はゼロになります)としても、リフレーションによる景気回復は期待できます。その事は、本文での金融緩和と景気回復の説明の中に、為替の話が殆ど出てこなかった事からも御理解頂けるかと思います。
    従って③の「円安インフレ政策」という言い方は、控えめに言ってもリフレ政策の一部分だけを取り出したものであり、私などの主張そのものとは異なります。

    >そもそもインフレは起こせない
    >著者はこう言っている。
    >景気をよくするためにインフレを起こすこと、それは無理なのです。
    >つまり、因果関係が逆なのです。

    やはり著者は、インフレを景気回復の「結果」としてしか見ていない様です。これは間違いではありませんが、一面的な見方です。上述の通り、景気回復局面ではインフレと景気拡大は相互に作用します。但し、景気回復の最初の段階ではインフレに先立って景気が回復し始めるという見方もあります。その点では筆者の言い分にも一理あります。
    その事を示しているのが(引用が前後しますが)以下の部分です。

    >著者が主張しているのは、「通常の意味での物価の上昇」は起きないということだ。理由は単純で、今の日本においては、売り手が値上げをしないからだ。物価上昇の前に、景気回復があれば話は別だ。景気の回復に伴って給料が増えて、その結果として国内総需要が増加すれば、お店は商品・サービスを値上げするかもしれない。でも実際は、このご時世、一時的に企業の業績が多少改善した程度で、給料はすぐに上がらない。値上げすれば、更なる売上の低迷を招くだけだ。<

    企業が値上げをしない限りインフレは起こらず景気は回復しないかの様な書き方です。しかしこれは誤りです。企業の業績が回復すれば株価は上がり配当も増え、個人投資家や機関投資家の利益になります。機関投資家というと聞こえが悪いかもしれませんが、例えば「年金」の運用などです。そして企業も、設備投資や事業拡大をし易くなり、これも景気回復の要因になります。確かに、すぐには給料を上げないかもしれませんが、本文で書いた通り、私は非正規の雇用から改善し始める事を期待しています。
    つまり、筆者の言い分とは違い「物価上昇に先立って景気回復が始まる」可能性が高いのです。

    何故、筆者はこの様な勘違いをしているのでしょうか。
    おそらくそれは、リフレ政策の事を「単にインフレを起こすもの」として捉えていないからだと推測します。そう考えれば辻褄は合います。しかし、リフレとはそういうものではありません。リフレ政策の本質は「金融緩和による景気刺激」です。インフレは、その効果を計るのに適した指標であるからこそ、インフレ率が目標として挙げられるのです。つまり「インフレは景気回復の結果」という点のみを取り出せば、いみじくも筆者の言う通りなのです。
    しかし、筆者は何故インフレ率がリフレ政策の目標になっているのかを理解していない様に見受けられますし、何故リフレ政策が景気刺激になるのかも理解していない(あるいは解っていてとぼけている)様に見えます。

    ちょっとややこしくなったので、まとめてみましょう。
    リフレ政策とはあくまで景気を回復させるのが目的であり、その効果を計る為の指標としてインフレ率があります。その意味でリフレ政策はインフレ目標を定めるのです。物価を上げる事そのものが目的なのではありません。

    そして現実に、筆者の予想は裏切られています。「アベノミクス」は実質的にはまだ何も始まっていないのに、既に株価は大幅に回復し円高も是正されてきています。それを受けて輸出関連企業の好決算も報じられています。
    つまり、期待感だけでも(ある程度は)物価上昇に先立って景気は回復し始めるという事です。
    勿論、本文でも危惧した様に、財政政策のミスによって景気の腰を折らない様に注意すべきですが、それは著者の主張とは別の話です。

    そして極め付けは、もはや定番の感がある「国債暴落論」です。

    >日銀は量的緩和政策を行い、大量の日本国債を購入している。

    「大量」というのは感覚ですから、著者にすれば大量かもしれませんが、リフレの為には全然足りません。

    >これは当然ながら円建ての金融資産なので、円安になれば、例えばドル建ての米国債と比較した場合、日本国債の価値そのものが下落することになる。

    「価値そのもの」なんて言葉で絶対化しようとしていますが、自分で「ドル建ての米国債と比較した場合」と書いている通り、価値は相対的なものです。円建ての日本国債は円でみる限り、為替変動の影響を受けません。ですから、

    >日本国債を大量に保有しているのは、主に国内の金融機関(特に銀行)だが、彼らにとっては保有資産価値が減損するリスクがあるということだ。

    これは詭弁です。円で見る限り、資産価値の減損など起こっていません。仮にこの意見を認めるとするならば、過去何年もの間、空前の円高が進行し続けてきた訳ですから、その間に、既に銀行の保有資産価値は莫大な額に増加している筈ですが、その事を認めますか?
    いやぁ、そんな話は聞きませんよね。

    >将来、日本国債の価格が下がると分かっているならば、最初から米国債に投資した方が合理的だ。

    上記の点から見ただけでもこの記述はおかしいのですが、ここには更に重要な視点が欠けています。
    それは「米国が一方的なドル高を放置するのか」という問題です。米国にだって米国の事情がありますから、極端なドル高は避けたい筈です。為替が複雑な要因の一つはここにあります。常に相手が居るという事です。勿論「円高は天災」の如き極端な意見は論外ですが、日本政府の意向だけで為替相場が決定すると考えるのも逆方向に極端であり、やはり愚かな意見です。

    それから、国債暴落論にしてもハイパーインフレ論にしてもそうなのですが、こういう主張をする人達に共通しているのは「コントロール」という概念に欠けている事です。国債の価値はいきなりガタ落ちになったりしません。デフレがいきなりハイパーインフレになったりもしません。必ず、途中の段階がある訳です。
    そもそも、米国FRBにしろ欧州中銀にしろ、景気のコントロールには細心の注意を払っており、景気が過熱しそうになったら引き締めるという事を当然の様にやっています。ですから、インフレ率にも自国国債の価値にも、常に注意を払っています。それが彼らの業務だからです。翻って我が国の中央銀行はどうですか。私見ですが、これまでそういうコントロールには殆ど注力してこなかったのではないですか(やっているという言い訳を考えるのには熱心だった様ですが)。
    もしかしたら、国債暴落やハイパーインフレを危惧する人達は「日銀には景気の過熱を防止する能力などない」とお考えなのかもしれません。確かにこれまでの日銀の体たらくを見ていると、それはそれで思わず納得してしまいそうになる解釈なのですが、そんな状態では、国全体が困ってしまいます。

    最後におまけです。
    著者名でググったらBLOGOSのこの記事がヒットしました。
    http://blogos.com/article/53714/
    論理的裏付けも何も無い、単なる感情論ですね(しかも「一行開け」だし)。
    仮にも経済学者を名乗る人が、経済について語る時に、この程度の言葉しか持ち合わせが無くてどうするんですかねぇ。

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